Le régiment H ─ル・レジマン・アッシュ─

台湾・高雄市から土方歳三と榎本武揚を想いつつ、幕末と江戸時代ににまつわる話題を書いています。

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『赤松則良半生談』

前回の記事で予告した通り、今回は先日読了した『赤松則良半生談』の紹介です。

前回の繰り返しになりますが、『赤松則良半生談』は、このブログではすっかりおなじみの、幕末オランダ留学生の一人、赤松大三郎(則良)が明治政府に出仕するまでの半生を晩年になって語った回想録です。
則良の談話に、嗣子の範一(はんいち)が編集及び注釈を加え、更に則良の孫3人が再編集した、赤松ファミリーによる作品と言って過言ではありません。

内容は第一章が則良の出生から長崎海軍伝習所での伝習まで、第二章が咸臨丸での太平洋往復について、第三章がオランダまでの長い道のり、第四章がオランダでの楽しい留学生活、幕府の瓦解後、日本に帰国し、結婚してから駿河に無禄移住するまでで終わっています。
本文の後のあとがき、関係人物略伝、年譜、解説を合わせると1章分以上のボリュームがあります。

実は幕末・明治に活躍した人の回想録を読んだのは初めてでしたが、大正時代に語られた談話なので、文章が現代のものに近く、思ったよりも読みやすく、本文そのものは一週間ほどで読めました。
則良の談話は割と淡々と書かれているので、それを補うように範一が詳しい注釈を加えていますが、注釈も読み応えがありました。
個人的には榎本釜さんの講談社学術文庫版『シベリア日記』に収録されている「渡蘭日記」に載っている漢詩が、『半生談』には読み下し文付きで収録されているのが大助かりでした。

旧赤松家記念館の紹介ページで、則良の生家は「吉沢」姓だが、子供の頃に祖父の姓「赤松」を名乗ったことを初めて知りましたが、『半生談』で赤松家及び吉沢家の更なる血縁関係を知ることができました。
則良に同母の弟がいることは知っていましたが、二人とも若くして亡くなってしまったそうで、これが則良の子沢山につながっているのかも…と思いました。
また、則良も榎本釜さん同様、父親の影響を強く受けたようです。
父の吉沢雄之進は則良の幼少時に長崎奉行組与力を務め、更にペリーが来航した当時、下田奉行組与力を務め、下田奉行に随行した父に従って則良も下田に滞在しました。
父がアメリカ人と折衝する姿を目の当たりにしたことが、彼の海外への扉を開くきっかけになったでしょう。

吉沢雄之進は則良(当時は大三郎)が海軍伝習のために長崎に赴く際に、以前、長崎奉行組与力として長崎に赴いた時の経験をフルに生かした「御用旅行の心得帳」という旅のしおりを作成し、則良に渡しています。
この「御用旅行の心得帳」も『半生談』に収録されていて、旅の荷物一覧はもちろん、宿役人への挨拶文や祝儀の金額、旅の途中で提出する書類の文面、道中で立ち寄って挨拶してほしい旧知・親族の名前などが実に細かく書かれています。
同行者がいるとは言え、数え17歳の息子を江戸から遥か遠い長崎への旅に出す、父親の心配りが感じられました。

雄之進は咸臨丸に乗ってアメリカに赴いたり、和蘭に留学し、日本から海の外に出て行く則良を知りません。
則良が長崎での伝習から帰ってきてから間もなく亡くなったからです。
長崎への御用旅行の準備は父にまかせっきりだった息子が、7年後には異国・和蘭で一人で列車に乗り、あちこちの街に行くようになる…そんな息子の姿を見たら、雄之進はどんな感慨を抱いたでしょうか。

わたしは『武揚伝』をはじめ、オランダ留学生が登場する小説を数冊ばかり読みましたが、この『赤松則良半生談』が元ネタとしてかなり使われていることがわかりました。
何しろ、本人が語っているのですから、ネタにして当然でしょうが…
その一つについて書き始めたら長くなってしまったので、折を見て別記事でアップするつもりです。
また『秋の金魚』の参考文献一覧にも『半生談』が載っていましたが、『半生談』のどの部分を参考にしたかすぐにわかってしまいました(笑)
(若い頃は「大さん」と呼ばれていたのは本当らしいです。何だか可愛い

当事者による回想録はある程度の美化や、記憶違いはあるでしょうが、本人にしかわからない当時の事情や心情を窺い知ることができます。
『赤松則良半生談』の場合は、幕末の開国後、初めて和蘭に留学し、しかも和蘭で学んだ事を帰国後にフルに生かした、時代の先駆者による貴重な証言です。
それゆえ、小説はもちろん様々な研究書の参考文献になるのは当然でしょう。
正直言って、『半生談』がこんなに読みやすいと分かっていたら、『幕末オランダ留学生の研究』より『半生談』を先に読んでいました。

『幕末オランダ留学生の研究』は古本市場で、今のわたしには手が出せない値がついていますが、『赤松則良半生談』は「日本の古本屋」で検索したところ、どの古書店も2000円ほどだったので、この値だったら何とか買えそうです。

『赤松則良半生談』は幕末オランダ留学生について知る必読書だと思います。
釜さんファンもぜひ読んでみてくださいね。
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*Comment

面白そうですね♪ 

この本は未読ですが、資料本を読んで行くと、色々な所で元ネタを発見して行くのが楽しいですよね(^・^)

赤松くん…
『陽が開くとき』では「鬼瓦の様な顔」と言われ。
『秋の金魚』では、「紅顔の美少年」と言われ…
実際は美形だったのかどうなのか、悩みます(>ω<;)

若い時の写真を見る限りでは、かわいい顔してると思うんですけどね。
  • Koto 
  • URL 
  • 2009年09月26日 14時33分 
  • [編集]

Re: 面白そうですね♪ 

>Kotoさん

赤松くんは若い頃は美少年とまではいかなくても、可愛い顔だったとわたしも思います。
でも、年を取ってからかなり顔立ちが変わってしまいました。
『半生談』の冒頭に喜寿(数え77歳)の記念に撮った赤松男爵の写真、その数頁後にオランダで撮った22歳の赤松くんの写真が載っているんですが、思わず「あの頃きーみは若かった~♪」と古い歌を歌いたくなるようなギャップがありました。

『半生談』は一次史料の割には現代人にも読みやすいので、ぜひ読んでみてくださいね。
  • まやこ 
  • URL 
  • 2009年09月26日 20時50分 
  • [編集]

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Author:まやこ
2月27日生まれのうお座・AB型

舞台や展覧会を観るのが好きで、仏蘭西と西洋史をこよなく愛する歴女です。(や○い・BLは好きではないので、腐女子ではないようです(笑)

2006年の元旦に「新選組!!土方歳三最期の一日」を見たのがきっかけで新選組副長、土方歳三のファンになり、幕末の世界に足を踏み入れ、全身どっぷり漬かっています。
土方歳三だけでなく、榎本釜次郎武揚、小栗上野介忠順、中島三郎助も贔屓にしています。
彼らの足跡を追って、山の奥や海の彼方にも行きました。

ブログのタイトルは仏蘭西語です。意味と由来はこちらをご覧ください。

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結婚に伴い、長年住んでいた武州多摩郡某村(甲州道中沿い)から武州久良岐郡(横浜市南部)に引っ越したが、2014年6月に夫の仕事の都合で台湾南部の高雄市に住むことになりました。

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