Le régiment H ─ル・レジマン・アッシュ─

台湾・高雄市から土方歳三と榎本武揚を想いつつ、幕末と江戸時代ににまつわる話題を書いています。

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『秋の金魚』に萌え♪

相変わらず、江戸時代や幕末、明治時代が題材の本を図書館から借りて読んでいます。
『江戸のなりたち』という都内に点在する江戸時代の遺跡を考古学的視点から紹介した本や、『クララの明治日記』(明治時代に勝海舟の家族と交流があったクララ・ホイットニーの日記)や、以前から気になっていた吉村昭氏の遺作『彰義隊』を読みましたが、今回のお題は上記の本ではありません。

Akiさんのブログで紹介されていた『秋の金魚』(河治和香・作)という小説です。
江川家の裏側及び海軍伝習所・幕府海軍ネタが満載で、赤松大三郎も多く登場すると紹介されていたので、江川家、海軍伝習所や幕府海軍に興味大で、先日、磐田の旧赤松家に行ったばかりのわたしが読むのにピッタリ~と思い、早速図書館で手配して読んだところ、すっかりツボにハマってしまいました。

(この先、ネタバレの上、長文なので、その旨ご了承ください)

何度かこのブログに書いていますが、幕末史に興味を持つ前は、主にヨーロッパが舞台のヒストリカルロマンスを色々と読んでいました。
幕末の世界にハマってからは、幕末もので、ロマンスの要素のある小説をいくつか読んできましたが、これぞヒストリカルロマンスと思える作品と出会ったことがありませんでした。
幕末ものの小説に男女のロマンスを求める方がおかしいのですが…(苦笑)

でも、ついにわたしが求める幕末もののロマンス小説に出会いました!
それが『秋の金魚』です。

ヒロインは韮山代官の江川太郎左衛門の手代、柏木総蔵の姪、留喜(るき)、彼女の初恋の人にしてヒーロー(爆)は咸臨丸で太平洋を横断したメンバーであり、日本の造船界の黎明期を支えた肥田浜五郎、そして、留喜の夫は旧幕府軍艦・蟠龍丸艦長の松岡磐吉です。
ちなみに肥田浜五郎は江川家の侍医、肥田春安の息子、松岡磐吉は江川家元締手代の松岡正平の息子なので、二人とも江川家家臣団に属し、江川家から長崎海軍伝習所の第二期生として入学しています。

留喜の幼い頃、父が母と兄、同僚の江川家の手代やその家族を惨殺し、挙句の果てに自害するという事件が起き、生き残った留喜は柏木総蔵夫妻に引き取られて育ちます。
江川家の江戸屋敷の人々から「乱心者の娘」と見られつつ育ったことが、留喜に暗い影を落としています。
しかし、浜五郎は留喜の過去を知りつつも、彼女に暖かく接し、留喜は浜五郎にすでに妻がいるのを承知しつつも彼に惹かれ、やがて、二人は男女の仲になります。
そんな時に留喜の元に松岡磐吉との縁談が持ち上がり、磐吉が長崎の海軍伝習所に行く前に、磐吉と祝言を挙げます。
アメリカから帰国後も、磐吉は「御軍艦」の御用で家を空けがちで、また留喜は家のために「乱心者の娘」を娶らざるを得なかった磐吉に対する申し訳なさと、浜五郎との関係が身も心も縛り、磐吉とはすれ違うばかり…
浜五郎は日本での軍艦の造船に関わるようになり、オランダとフランスに行きます。(ちなみのこの時に、澤(太郎左衛門)さん心づくしの和食を頂いています。詳しくはこちら
慶応三年十二月末、上方が騒がしいとのことで、磐吉は「御軍艦」で大坂に向かいます。
それがきっかけで、留喜、浜五郎、磐吉の複雑な関係が激しく揺れ動き始めます…

幕末が舞台の小説で女性が主人公なのが珍しい上、女の一代記ではなく、ヒロインと彼女を巡る男性とのやり取りが中心に書かれています。
普通の読者なら、幕末ものの恋愛小説と思うところですが、わたしはこの『秋の金魚』は正にヒストリカルロマンスだと思いました。

普通の恋愛小説といわゆるロマンス小説の違いは、ヒロインと最終的に相思相愛になる男性(ヒーロー)が女性にとって"理想の男"として描かれていることです。
"理想の男"と言っても人によって様々でしょうが、ロマンス小説の世界では基本的に「筋骨たくましいハンサム」です(笑)
ロマンス小説のヒーローを解析したあるWEBサイトによると「大胆で、冷静で、自信に満ちていて、衝動的で、頭が良い」ヒーローが望まれるそうです。
『秋の金魚』の肥田浜五郎は、正にそんなヒーローなのです(爆)(いや、ホントなんですってば…)

ヒーロー・浜五郎の良いところは、何と言ってもヒロイン・留喜に心底優しいことです。
留喜が満足することが、彼の最大の喜びであるようです。
「乱心者の娘」と自分でも思い込みつつ育ったため、頑なだった留喜が、浜五郎に大切に扱われ、愛されることによって、彼女自身も優しくなります。
そして、浜五郎は留喜との関係から生じたものに対して誠実な態度を取ります。
詳しく書くと激しくネタバレするのでこれ以上は書きませんが、某ロマンス小説もどきで、出獄後も自分の愛人とその間に出来た子の世話を部下に任せたままで、自分の子とは認めたものの、認知はしなかったE.K.さんとはえらい違いです。
「ろまんち」とたびたび言われるE.K.さんよりも、『秋の金魚』の浜さんの方がいろんな意味でロマンチ度は上です

実在の肥田浜五郎が本当にそのような人物だったか、史実を知らないわたしにはわかりませんが、かなりのイケメンだったのは確かです。
オランダ留学生と一緒に写っている写真を見る限りでは、整った顔立ちに口ひげもよく合っていて、当時として長身なのがわかります。
リンク先(磐田市の旧赤松家記念館開館5周年特別企画展のお知らせページ)の写真で、前列の左から二番目で腕を組んでいるのが、肥田浜五郎です。
肥田浜五郎の右隣りに座っているのが、赤松大三郎(則良)で、『秋の金魚』では浜五郎の弟分としてたびたび登場します。
二人は深川冬木町の蘭方医、坪井信良の塾に通っている頃からの付き合いです。
赤松くんはオランダ留学時代に釜さんと仲良くしている印象がとても強いので、弟分として浜五郎にあれこれ使われてしまっている(笑)『秋の金魚』の赤松くんは新鮮でした。
そんな目で上記の写真を見ると、留学生でないのに真ん中に座っている浜五郎の隣で赤松くんがちょっと遠慮がちに座っているように見えます。

留喜の夫の、松岡磐吉もそれなりにいい男に描かれていますが、浜五郎のヒーローっぷりの前には負けます。
磐吉も彼なりに留喜を愛していましたが、留喜の知らない彼女の出生にかかわる出来事が磐吉と留喜の関係に影を落とし、また「御軍艦」という姫君に魅入られてしまったため、留喜を素直に愛することができません。
もし、磐吉が留喜への想いをもっと素直に示していたら、留喜と磐吉との関係はもっと違ったものになったでしょう。

ロマンス小説には程度はあるにしろ、ラブシーン…もとい濡れ場がつきものですが、『秋の金魚』は何気に多いです。
さらりとしているようで、かなりエロティシズムを感じさせる描写です。でも、決してねちっこくはありません。
『アラミスと呼ばれた女』では、あまりにもあっさりしすぎてガックリしたので(爆)(ヒロインとヒーローが男女の仲になる描写があれだけとは…)、ロマンス小説にはある程度は濡れ場があった方がよいと思います。
もちろん濡れ場だけがメインになるのは論外です。

話を真面目な方向に戻しまして…『秋の金魚』で江川家の手代の複雑な関係が物語の鍵となっています。
これも詳しく書くとネタバレになってしまいますが、彼らも愛したり憎んだり欲に溺れたりする生身の人間だと実感しました。
彼らの複雑な関係に留喜は翻弄されて生きてきた、と言っても過言ではありません。
留喜の親の世代にあった様々な事件を知っている人が、そのことを早く留喜に伝えていれば、留喜も「乱心者の娘」と長い間苦しまなかったのでは…と思いますが、過去を知る人は思い出すのもつらかったのでしょう。

『未完の「多摩共和国」』という本によると、江川太郎左衛門英龍の時代に約八万石の天領を管轄していましたが、家臣の数は33人、そのうち江戸屋敷詰めは17人ととても少なかったそうです。
江戸屋敷内に住んでいたのは17人の家臣とその家族と(大名屋敷と比べると)少人数なら、家臣の関係が色々な意味で濃密になるのは当然でしょう。
江川代官が管轄していた天領の中に土方歳三の故郷の石田村や、日野宿があります。

幕末史では少々マイナーな人物でも、小説の主人公になりえるのは、小栗忠順や中島三郎助が主人公の小説を読んで実感してきましたが、書き方次第では、ヒストリカルロマンスのヒーローにもなりえるのを、『秋の金魚』でしみじみ感じました。
ある程度幕末史を知ってしまった身としては、小説と史実を混同するつもりはありませんが、実在の肥田浜五郎も小説のように魅力的な男性だったと思いたいです。
それから、ヒロインの留喜が実在の人物だったのか、とても気になります。
『秋の金魚』は時代小説としては珍しく、巻末に参考文献が挙げられていますが、留喜の存在を確かめられそうな本がどれだかわかりません。(ひとまず今は『赤松則良半生談』を読んでいますが…)
肥田浜五郎及び彼の家族について書かれている本をご存知の方、いらっしゃいましたら、教えていただけるとうれしいです。

『秋の金魚』はわたしのようなヒストリカルロマンス好きな人はもちろん、普通の恋愛小説ファンや少女マンガ大好きな方にぜひお勧めしたいです。
貴女もきっと浜さんのとりこになります(笑)

長々と萌えを吐き出し、大変失礼しました。ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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*Comment

E.Kさん(爆) 

すみません、吹いてしまいました(^^;)
全く、おっしゃる通りだと思います~

まやこさんのオススメでしたら、読まない手は無いですね(b*^-')
今借りて来てる書籍達を読破したら、借りて来ようと思います。

この写真見る限り、肥田さんは顔も小さく足も長い、立派なイケメンですよね♪
後ろに写っているE.Kさんも背は高いですが…
ちょ、ちょっと額が広いかも!?((+_+))
  • Koto 
  • URL 
  • 2009年09月02日 07時50分 
  • [編集]

Re: E.Kさん(爆) 

>Kotoさん

『アラミスと呼ばれた女』については以前このブログで長い愚痴を書いたので、読まれたかもしれませんが…なよなよしたヒロインにもイライラしますが、E.Kさんの不誠実ぶりにも腹が立ちます。
E.Kさんはちゃんと責任取ったり、自ら親身になって世話するタイプだと思うのですが、あの小説では人任せにしすぎですよね。
ロマンス小説の世界ではああいう男はヒーロー失格です(爆)

『秋の金魚』の浜五郎さんはホントに魅力的な男性です。
「ヒーロー」とよいしょしまくりましたが、小説を読んでいただければ、その訳がお分かりになるかと思います。

身長の話ですが、赤松大三郎は170cmくらいあったそうです。
オランダ留学中に赤松くんと釜さんが並んで写っている写真では赤松くんの方が背が高く、この記事の本文で紹介した写真を見る限りでは、肥田さんの方が赤松くんより大柄(で足が長い)なので…
肥田浜五郎(170cm以上)>赤松大三郎(170cm前後)>榎本釜次郎(160cm台)
ということになるでしょうか。
当時の男性の平均身長は160cm弱(わたしと同じくらい)だったそうなので、3人とも当時の平均身長よりは大柄ですね。
  • まやこ 
  • URL 
  • 2009年09月02日 20時56分 
  • [編集]

 

まやこさん、こんにちは。
「秋の金魚」気に入って頂けたようて何よりです。
浜五郎さんと磐吉くんが出てくる小説なんて
そうそうないですからね~(苦笑)。
マニアには堪らない、貴重な小説だと思いますvv
  • Aki_1031 
  • URL 
  • 2009年09月04日 19時22分 
  • [編集]

すっかりハマりました 

>Akiさん

素敵な小説をご紹介いただき、ありがとうございましたv-411
ロマンス小説好きなわたしのツボを見事に突かれました。
何よりも浜五郎の見事なまでのヒーローっぷりに萌えました(笑)

『秋の金魚』は肥田浜五郎と、松岡磐吉という幕末史では知る人ぞ知る人物を、メインキャラに持ってきたところがミソですね。
他の小説であまりいじられていないからこそ、作者の想像の翼を広げることができたのだと思います。
  • まやこ 
  • URL 
  • 2009年09月04日 21時30分 
  • [編集]

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まやこ

Author:まやこ
2月27日生まれのうお座・AB型

舞台や展覧会を観るのが好きで、仏蘭西と西洋史をこよなく愛する歴女です。(や○い・BLは好きではないので、腐女子ではないようです(笑)

2006年の元旦に「新選組!!土方歳三最期の一日」を見たのがきっかけで新選組副長、土方歳三のファンになり、幕末の世界に足を踏み入れ、全身どっぷり漬かっています。
土方歳三だけでなく、榎本釜次郎武揚、小栗上野介忠順、中島三郎助も贔屓にしています。
彼らの足跡を追って、山の奥や海の彼方にも行きました。

ブログのタイトルは仏蘭西語です。意味と由来はこちらをご覧ください。

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結婚に伴い、長年住んでいた武州多摩郡某村(甲州道中沿い)から武州久良岐郡(横浜市南部)に引っ越したが、2014年6月に夫の仕事の都合で台湾南部の高雄市に住むことになりました。

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