Le régiment H ─ル・レジマン・アッシュ─

台湾・高雄市から土方歳三と榎本武揚を想いつつ、幕末と江戸時代ににまつわる話題を書いています。

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スへフェニンゲンで海水浴

800頁以上ある『幕末オランダ留学生の研究』は、二週間の貸出期間ではとても読了できなかったので(それでも半分以上は読みましたが)、貸出延長しました。
今は図書館のWEBサイトで本の予約だけでなく、貸出延長できるので、とても楽です。
この本を読み進めていて、今の時季(夏)に相応しいエピソードを見つけましたのでご紹介します。

日本人留学生は、オランダの代表的な海岸保養地、Scheveningen(スへフェニンゲン)を何度も訪れています。
スへフェニンゲンは日本人留学生が滞在したハーグから、トラムで20分ぐらいで行ける海岸保養地です。

手持ちのオランダのガイドブックによると、19世紀より森鴎外も宿泊したというクール・ハウスというホテルを中心に発展し、ショッピングセンター、劇場(ミュージカル「エリザベート」も上演)、水族館、政府公認カジノなど、娯楽施設が豊富だそうです。
赤松大三郎と澤(太郎左衛門)さんの手記にスへフェニンゲンを訪れたことが言及されているそうです。
赤松の手記には、砂浜を散歩したり、乗馬を楽しんだり、海の家でビールや苺やさくらんぼを味わったことが書かれていますが、海水浴はしていないようです。

一方、澤さんは海水浴してます
1864年7月22日にあまりの暑さに耐え兼ねて、知人の工場経営者と一緒にスへフェニンゲンに海水浴に行ったそうです。
その日の気温は29℃ですが、7月の平均気温が17℃のオランダではとても暑く感じられたしょう。
(ちなみに明日のアムステルダムの予想最高気温は23℃、わたしがオランダに行く頃はどれくらい涼しいのやら…)
日本では海水浴は明治時代になってから、松本良順先生が奨励して広まったそうなので、澤さんが海水浴した日本人第一号かもしれません。
赤松や榎本釜さんも海水浴したかもしれませんが、記録がないので、自分が泳いだ記録を残した澤さん優先ということで…

澤さんによると、19世紀オランダの海水浴はこんな感じだったそうです。
(『幕末オランダ留学生の研究』に掲載の澤さんの談話筆記より引用)

われ等は一等の馬車(鉄道馬車)に乗って海水浴場に至りましたが、此道程は凡そ日本の一里十丁程でありまする。シケーフェニング(スへフェニンゲン)海岸は遠渚で、海岸には滞在館(バットホテル)が五軒ありまして、二百人より三百人入るる家で、それに逗留客も多分にありました。時節柄どの宿屋も客が充満して居て、海水に入浴する所の婦人、及外見を憚る紳士たちは、セイバットワーヘンと唱へまする三方を覆った馬車にて、海上遥まで乗出しまして、程よき深さの処で止めて、それより水着を着まして入浴する訳ですから、私も其馬車を雇ふて入浴して見ました。此馬車は一日買切り十二ギュルデンで一回雇いは三ギュルデンと定めてあります。


セイバットワーヘンはオランダ語で「海水浴用の馬車」という意味だそうです。
同時代、ヴィクトリア朝のイギリスの海水浴場では、この馬車はBathing machine(脱衣車)と呼ばれていました。
この時代、裸を人前に晒すことがはばかれていたので、海水浴する人は馬車の中で水着に着替え、馬車を海の中に移動させ、水の中に入る次第です。
日本でも初期の海水浴では脱衣車が使われたそうです。ただし車を引くのは馬ではなく、牛だったそうです。

澤さんはどんな水着を着て海水浴したのか気になります。
ウィキペディア英語版のBathing machineの項目の下の方に1910年代の男性の水着姿の画像が載っていますが、1860年代もこんな感じだったのでしょうか。(さすがに褌一丁では泳がないでしょう…)

ヴィクトリア朝のイギリスの海水浴場の様子は、何度かこのブログで話題にしている、わたしの愛読マンガ
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(2007/03/26)
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に登場します。
第三話「ブライトンの海(前編)」です。
ブライトンはイギリス・イングランド地方南東部にある海岸保養地で、『エマ』では子爵令嬢が初めて海水浴する場面が描かれています。
令嬢は脱衣車の中で水着(といっても膝丈のドレス)を侍女に着せてもらい、海の中に入ります。
『エマ』を読んでいたので、『幕末オランダ留学生の研究』で澤さんの海水浴の件を読んだ時、「この"セイバットワーヘン"や脱衣車って『エマ』に出てきたアレ!?」と思いました。
ちなみにこの『エマ』8巻に1851年にロンドンで開催された第一回万国博覧会にまつわる話も収録されています。

スへフェニンゲンはハーグから程近いので、ハーグ滞在中に足を延ばして行ってみたいですが、一人で海岸保養地に行くのもどうかと思っています。
うーん、でも行きたい!
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*Comment

初めまして 

森鷗外もオランダへ行ったことがあるんですか。すごいですね。

フランスのニースやカンヌなどのコート・ダジュールやイタリアのリビエラ海岸、ナポリ、ソレント、アマルフィ海岸はヨーロッパ屈指の保養地だと聞いています。

Re: 初めまして 

>台湾人さん

この度はコメントをありがとうございました。
返信が遅くなり、申し訳ありません。

森鴎外はドイツ留学中にオランダに行ったことがあるそうなので、その時にスヘフェニンゲンにも行ったと思われます。

> フランスのニースやカンヌなどのコート・ダジュールやイタリアのリビエラ海岸、ナポリ、ソレント、アマルフィ海岸はヨーロッパ屈指の保養地だと聞いています。

2008年9月にスヘフェニンゲンに実際に行ってきた時の写真付きレポをこのブログに載せていますので、よかったらご覧ください。(下のURLです)
http://regimenth.blog55.fc2.com/blog-entry-249.html
スヘフェニンゲンも高級保養地と聞いていましたが、今のスヘフェニンゲンは思ったより庶民的な雰囲気に感じられました。
  • まやこ 
  • URL 
  • 2010年03月18日 22時37分 
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まやこ

Author:まやこ
2月27日生まれのうお座・AB型

舞台や展覧会を観るのが好きで、仏蘭西と西洋史をこよなく愛する歴女です。(や○い・BLは好きではないので、腐女子ではないようです(笑)

2006年の元旦に「新選組!!土方歳三最期の一日」を見たのがきっかけで新選組副長、土方歳三のファンになり、幕末の世界に足を踏み入れ、全身どっぷり漬かっています。
土方歳三だけでなく、榎本釜次郎武揚、小栗上野介忠順、中島三郎助も贔屓にしています。
彼らの足跡を追って、山の奥や海の彼方にも行きました。

ブログのタイトルは仏蘭西語です。意味と由来はこちらをご覧ください。

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結婚に伴い、長年住んでいた武州多摩郡某村(甲州道中沿い)から武州久良岐郡(横浜市南部)に引っ越したが、2014年6月に夫の仕事の都合で台湾南部の高雄市に住むことになりました。

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